田園都市線エリアの「知りたい」がきっとみつかる。読者モデルとスペシャリストが発信する地域密着ブログ
募集中! まちぶろ・ぷろぶろブロガーを募集しています。詳しくはこちらで
「岩下秀明」のブログをRSSで購読する
 
岩下秀明[ぷろぶろ]記事一覧 > 共鳴する場所 Part3

カテゴリ [室長日和]

共鳴する場所 Part3

[ 更新 2011/11/13 ]

▲我が家のアボガド君順調に成長中。土に植えてあげました。
(少し間が開いてしまいましたが…前号からの続きです)

Cさんはその日の最後の患者さんだった。私の治療室では治療の後に患者さんにお茶をお出ししているのだが、妻がお茶を運んでくるとCさんと妻は楽しそうに世間話を始めた。治療室内の片づけは二人の話が終わってからにしようと思い、私は部屋を出て居間でお茶を飲むことにした。
レオが丸くなって寝ている横に座ってラジオを聴きながらお茶をすすっていたが、私がお茶を飲み終わってもCさんと妻の会話は続いているようだった。私はレオをなでながらラジオを聴くともなく聞いていた。

その時である、寝息を立てていたはずのレオが、首をスーッと持ち上げて治療室の方向をじっと見つめ始めた。食べることと寝ることが何よりも好きなレオだから、よほど興味をそそられることがなければ、ごはんの時間まで寝ていることがふつうである。
治療室の方向には、おいしそうなものはないし誰もいないし物音もしない。おいしそうな匂いを嗅ぎつければ鼻がピクピク動いてソワソワと落ち着かなくなるのだが、鼻は動かさないで微動だもせずに、ただそちらの方を向いているだけだった。レオは5〜6分ほど何かを聴いているような、あるいは何かを見ているような姿勢でいたが、そのうち何事もなかったかのように丸くなって寝てしまった。

そうこうしているうちに小一時間が経過した。「いくらなんでも話が長すぎる!!そろそろ片づけもしたいし…」と思い、少しイライラ…でも顔はニコニコしながら治療室のドアを開けた。すると、部屋の中が何やら異様な雰囲気に包まれているような感じがしたのである。

ちょうど話が終わったようだったのだが、妻が涙ぐんでいるのだ。悲しくてではなく、感激してという涙のようだった。何年も前に亡くなった妻の両親をこの部屋に呼んで、いろいろなメッセージを伝えてくれたというのだ。それからレオとも話をして、レオの思いを伝えてくれたというのだ。

その内容を聴いて私は仰天した。
「レオちゃんとお話ししてみましょう」とCさんは言うと、気持ちを集中させるようにしてうつむいて目を閉じた。Cさんがつたえてくれた内容は、レオのしぐさとか、レオのお気に入りの毛布のこととか、一緒に暮らしていなくてはわからないような内容だった。

レオ曰く。
「僕は勇者なんだ。お父さん(私)を守るために生まれてきたんだ。本当は別のところに行くことになっていたんだけど、どうしてもこの家に来たくて予定を変えてもらってここに来たんだ。」

そういえば…。盲導犬訓練センターで初めてレオと出会ったとき、あらかじめ訓練士さんから伝えられていたパートナーの犬とは違うようだったことを思い出した。その時は何かの都合で変更があったのだろうと思ったのだが、レオの話からすると、そこには深い意味があったのだ。

さて、Cさんがレオと話していることなどつゆ知らず、私はレオが寝ている横でお茶をすすっていたわけだが、後から思うと、レオが首を持ち上げて治療室の方を向いていた時間とCさんがレオと話をしていた時間は一致していたのである。

レオはCさんの語りかけが聞こえていたのだろうか。私には何も聞き取ることはできなかったのだから、空気の振動による実際の音ではないはずだ。音叉を響かせると同じ周波数の音叉が共鳴するように、Cさんとレオとの間で何かが共鳴し合ったのだろう。

その「何か」とはなんだろうか。

(まだまだ続く!気長にお楽しみに!!)


この記事に対するコメント
コメントは投稿されていません。
この記事にコメントを投稿する
●コメントの公開については「まちぶろ・ぷろぶろ」の判断で行われます。予めご了承ください。●カッコ内の数字は最大文字数です。●htmlタグは使用できません。●全ての項目が必須です。
タイトル(100)
お名前(50)
コメント(300)

 
ページ最上部へ