溝の口駅からバスで約10分。富士通ゼネラル近くにある森山歯科を訪ねた。大きく窓がとられた待合室は明るく清潔感に溢れて心地よい。会話のきっかけになればと、院長の森山先生自ら選んだオススメする書籍も並んでおり、他の歯科医院では見かけないラインナップが楽しい。患者さんとの会話を大切にしているという森山先生だけに、楽しい会話がポンポンと飛び出し、話にひきつけられてしまった。
(取材日2007年6月13日)
―歯科医師を目指したきっかけを教えてください。
祖父の代から歯科医師という家系に生まれ育ちましたので、周囲からは私も歯科医師になることが当然のように思われていました。思春期の頃は反発心から歯科医師にはなりたくないと思ってたりもしました。そして私は、アメリカ(ネブラスカ州)の大学に留学しました。歯学の勉強ではなく、数学を学びました。自分の好きなことを思いっきりできたアメリカ生活でした。夜はミュージシャンのアルバイトでベーシストとしてクラブで演奏してみたり、昼間は大学生として研究に励むという多忙な生活でした。アメリカでの生活を終えてみて、自分の中にあった反発心や凝り固まっていた考えもなくなり、初めて歯科医師という仕事も悪くないのではないかと思うようになり、歯学部に編入しました。他の学生よりも遠回りしているという焦りもありましたが、自分としては、アメリカ留学をしなければ歯科医師の仕事を果たしてやっていただろうかという風に思っています。
―二度目の学生生活はどのようなものでしたか?
年齢的にも早く一人前にならないといけないと自分自身にプレッシャーをかけていましたから、学生生活を楽しむ余裕なんてありませんでしたね。もっと勉強したいという知的欲求が高まっていた時期でもありましたから、授業が終わると夜間診療を行っている歯科医院で学ばせてもらったり、勉強漬けの毎日でした。1日でも早く臨床の現場で活躍したかったので、苦労だと思うこともありませんでした。むしろ、勉強に没頭できることがありがたいと思いました。
―アメリカ留学で得たもので歯科医師として役に立っていると感じることはありますか?
私が学んでいたのは行列という一般の方にはあまり馴染みのない特殊なジャンルでしたし、歯科治療に応用できるものでもありませんから、数学の知識が役に立ったということはあまりありません。しかし、大学の研究とアルバイトの両立生活で培われた精神力は、2度目の学生生活でも役に立ったと思います。現在は、クリニックの入り口に「English spoken」と表記し英語での診療を行っていますので、英語力が役に立っていると言えるかもしれませんね。しかし、英語圏の患者さんのみならず、ロシア語、中国語、ポルトガル語…あらゆる言語の患者さんら来院されるので、英語を使わずにジェスチャーや筆談で診療ということもあります。