こどもの国駅から歩いて3分の耳鼻咽喉科むつみクリニック。曲線を多用し、明るい色合いでまとめられた院内は、実際よりも広さを感じる上、予約制が導入されているため混雑することもない。プライバシーに配慮された診察室は、他の患者さんに話が筒抜けになる心配もないので、どんなことでも気軽に相談できそうだ。耳について研究を重ねている院長の剱持先生は、耳の仕組みについてわかりやすく教えてくれた。先生の話に同意しながら、理解して納得することが治療の第一歩なのだと改めて感じた。
(取材日2007年8月6日)
―医師を目指したきっかけを教えてください。
父が医師であったことが大きなきっかけだと思います。私の生まれ育った茨城県行方市では、田舎町ですから、内科から外科まで何でも診る医師で、父の姿を小さい頃から見て育ってきました。私は4人兄弟の三男ですし、4人とも医師ですから私が継ぐ必要もありませんし、父の仕事を継ぐように言われたこともありません。同級生の多くが家業を継いでいることもあり、自然なかたちで医師を目指すようになりました。父が別の職業だったら、私もその職業を選んでいたかもしれません。
―耳鼻咽喉科を選ばれた理由をお聞かせください。
大学に入るまでは、自分が神童だと思い頭脳明晰な気でいましたが、医学部に入学してみて、優秀な学生にたくさん出会い、神童だと思い込んでいたのは錯覚だと思い知りました。そのせいでしょうか、全身を広く診なくてはならない内科や外科は、頭が良くないと自分には到底無理だとあきらめてしまいました。ひとつの器官を深く扱う診療科である眼科や耳鼻咽喉科などが向いていると思っていました。大学時代は、柔道部に所属し、仲間たちと同じ釜のメシを食い親交を深めました。その柔道部の顧問の先生が耳鼻科部長であり、その先生に誘っていただいて耳鼻咽喉科に進むことになりました。
―力を注がれている治療分野はありますか?
大学院や留学先では、耳を専門に研究をしてきました。耳には聞こえとバランスの二つの役割があり、私は聞こえに関する研究をしていました。実際の診療では、難聴や耳鳴りなどが私の研究していた分野に該当します。一般的に難聴は高齢者の病気と思われていますが、そうとも言い切れません。若い方でもさまざまな原因で、音を聞き取りにくくなったり、特定の高さの音が聞こえないなどの症状があらわれることもあります。耳鳴りについては、年齢や性別が関係なく起こります。難聴や耳鳴りは、早期治療が早期完治につながるとは言えませんが、症状によって生活の質を低下させますので、早めに専門医にかかることをおすすめしています。
―耳鳴りが起こったらすぐに受診した方が良いですか?
耳鳴りは、ちょっとしたことで起こる症状です。飛行機に乗ったり高地へ行けば耳鳴りがしますし、体調が悪いときに耳鳴りがすることもあります。低い場所へ戻ったときや、体調の改善とともに、耳鳴りが治まるのであれば、専門医を受診しなくてもよいと思います。耳鳴りは1日で治まることが多いですから、2日以上経っても治まらない場合は、受診すると良いでしょう。