青葉台に開業して20年目を迎える岩井皮フ科を訪ねた。患者さんで溢れかえっているはずの待合室も、休診日の当日は静まり返っていた。院長の岩井先生は取材スタッフの緊張をほぐすかのように楽しい話をたくさんしてくださり、静かなはずの待合室は笑い声で溢れかえった。笑い話の中にも、医療に対する真摯な姿勢をうかがうことができた。これからの日本の医療を見つめ、広い視野で医療を考えて実際に行動を起こす。言葉の端々からもバイタリティが伝わってきた。(取材日2008年4月2日)
―まずは、声を大にして言いたいことがあるそうですが。
これを読んでくださる方に、皮膚に何かができたら皮膚科にかかるということを知ってもらいたいですね。こんな当たり前のことをどうして言うのかと言えば、ほかの診療科で治らなかったから皮膚科に来たとか、◎◎科で皮膚科で診てもらいなさいと言われて…という患者さんが非常に多いからです。瞼の上に出来物ができたら皮膚科、子どもだから小児科、女性だから婦人科と思って受診されているようですが、皮膚の病気は皮膚科が専門です。もっと早く受診してくだされば、早く治るのにと残念に思いますし、何しろ無駄な時間と医療費がかかってしまいますから。
―他の科と間違えやすい皮膚の症状はありますか?
帯状疱疹は、その痛み方から整形外科に行ってしまう方も多いようですね。また爪や頭皮に症状が表れた場合、どの診療科を受診していいのか迷うことがあるようです。ピアスやヘアカラー、タトゥーなどが原因のいわゆるオシャレ障害も、ほとんどが皮膚科の治療範囲となっています。他の科を専門とされている医師でも、皮膚科を掲げていることもあり、患者さんにとっては判別がつきにくいこともありますが、できるだけ皮膚病は専門的なトレーニングを積んでいる皮膚科の専門医に診てもらってください。
―皮膚科を専門にされたのはどのようなことからですか?
皮膚科ほど治療器具や検査機器がない科はありません。MRIやCTなどの最新の機器は皮膚科とは無縁ですし、レントゲンすら必要ありませんので、やろうと思えば、いつだって屋台を引いて青空診療ができるくらいです。しかし、検査機器に頼らない分だけ医師の五感と経験が診断の決め手となります。患部を目で見て、触って、匂いをかいで、患者さんの話を聴いてと、五感と経験がものを言う皮膚科が、とてもやりがいがあるように感じて、皮膚科へ進むことにしました。また、皮膚病変から内臓疾患や悪性腫瘍の早期発見ができることもあり、皮膚科に大変興味を持ちました。