センター北駅から歩いて2分の深澤りつクリニックを訪ねた。院内の待合室には、日差しが差し込んでとても明るく心地よい。診察室では、お子さんが描いたという先生の似顔絵が目に飛び込んで来て、ふと心が和んだ。院長の深澤先生は終始、冗談を交えながら笑顔で取材に応じてくださった。俳優のロビン・ウィリアムズが好きだと語る先生のユーモア溢れる温かな話しぶりに、パッチ・アダムス(※)のイメージが重なって見えた。(取材日2007年6月27日)
※パッチ・アダムス: ロビン・ウィリアムズの主演映画『パッチ・アダムス』のモデルにもなった実在のアメリカ人医師。ユーモアを根底において、人に優しい医療を目指し、社会活動家としての一面も持つ。
―どのような少年時代でしたか?
東京都で生まれ、2歳から築地の下町で育ちました。悪ガキでいたずらばかりしていましたが、良く言えば好奇心が旺盛な少年だったというところでしょうか。中学時代は、ムツゴロウさん(畑正憲氏)に憧れて、自然の中で動物たちと共に暮らしたいと思っていました。高校時代は、バレーボール部で泥にまみれて練習したり、文化祭では演劇の演出や8mm映画の監督をしたりしました。持ち前の好奇心を発揮して、いろいろなことに熱中した少年時代だったように思いますね。
―医師を目指したきっかけを教えてください。
父が国立がんセンターで麻酔科医をしていたので、幼児期よりがんセンターの中に住んでいました。そのためか、小学生の頃から医師という職業を意識していました。父は寡黙な古いタイプの人間で、一度たりとも私に 医師になれと言ったことはありませんでした。しかし小学校卒業時に書いた色紙には、僻地で医療に従事するのが夢だと綴ってあります。今で言うコトー先生のような存在に憧れていたんですね。高校時代に進路を考えたとき、自分が一生やっていきたい職業は何かと自問自答し、医師という仕事を現実的に考えるようになりました。
―泌尿器科を専門に選ばれた理由をお聞かせください。
最初は、内科で内視鏡医になりたいと思いましたが、実習を通じて手術治療による患者さんのダイナミックな変化に圧倒されて、外科を行いたいと思いました。しかし、外科は手術が主体で、患者さんに最初に会い、診断し、治療し、その後のフォローアップを行うことが少なかったのです。自分としては最初から最後まで患者さんとおつきあいをし、ともに治療を行っていきたいという思いが強く、そのため小さな科でありながら、外科系であり、内分泌や腎不全、悪性腫瘍等の多彩で幅広い領域を対象とし、内視鏡治療などの医療の最先端を走る泌尿器科を専攻することにしました。