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鷺沼駅から緩やかな坂を下ること5分。ヨーロッパのカフェのような赤いレンガと緑の幌が目を引く田園都市クリニックを訪ねた。オレンジ色の暖かなランプの光に照らされた待合室は、ここが病院であることを忘れてしまいそうになる。心地よい雰囲気の秘密を伺うと、院長の横田先生は医師でありながら「冷たくて怖い雰囲気の病院が大嫌いだから」と笑って教えてくれた。自分の嫌なことは、患者さんに絶対にしたくないという先生の基本姿勢を垣間見たような気がした。(取材日2007年6月20日)
「なんで?」「どうして?」大人が煙たがる好奇心旺盛な子どもだった
―どのような少年時代でしたか?
出身は四国の高知県で、大学を卒業するまで四国に住んでいました。子どもの頃から好奇心旺盛で、「なんで?」「どうして?」と大人たちを質問攻めにして、うるさがられていたと親から聞かされています。大人たちが返答に困るような質問もたくさんしていたようです。疑問に感じたことは解決しないと気がすまないタイプなんですね。成長するにつれて、自分で本を読んで調べるようになりました。子どもの頃は病弱で、月に2〜3回は高熱を出していて、よく病院のお世話になっていました。病院へのタクシー代よりも、自動車を買った方が安いからと、父が車を購入したほどだそうです。だからと言って、私にとって病院は決して良いイメージではなく、怖いところというイメージが強く、オバケ屋敷や怪談よりも病気になる方が断然怖かったものです。その恐怖心から、小学生にして分厚い「家庭の医学」を愛読して、病気の知識を身につけていたほどです。大人たちに向かって一丁前に病気の説明なんかを披露している、ちょっと変わった少年でしたね。
―小さい頃から病気に興味があったことが、医師になるきっかけですか?
むしろ、病気は怖いし病院に対して冷たいイメージを持っていたので、医師になりたいとは思っていませんでした。まず病院の青白い蛍光灯の印象と、鼻をつく消毒液のニオイがとても苦手でしたし、医師になった今でも大の苦手ですからね。また当時の診療は現在とは違って、医師と患者の間に上下関係があったように感じます。例えば、挨拶もせずに診療をされたり、こちらの訴えを受け入れてくれなかったりすることもあり、嫌な思いをした経験もありますからね。けれども、これらの経験は医師になった今、非常に役に立っていると思っています。患者さんに不快な思いをさせたくないという信念にも繋がっていると思います。では、病院嫌いの私がなぜ医師になろうと思ったかと言いますと、高校生の頃に父をガンで亡くしたことが大きなきっかけになっています。
―内科を専門に選んだのはどのような理由からでしょうか?
さまざまな診療科目がある中で、内科が全ての診療の基本であるからでしょうね。病巣に直接アプローチし、大胆に治療をしていく外科の手法よりも、問診や検査結果を積み重ねて、病気の可能性をひとつづつ検証していきながら原因をさぐり、診断をしていく内科に強い興味を惹かれました。小さい頃からの「なぜ?」「どうして?」と疑問を放っておくことができない気質と上手にマッチしているように思いますね。病気の診断も「なぜ?」「どうして?」を積み重ねった結果に、病名や治療方法にたどりつくわけですから。
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