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「ごめんなさい、もう少しお待ちくださいね」。診療の合間、自ら待合室へ出てきて、我々取材スタッフに丁寧に挨拶してくださった『あざがみ小児クリニック』の阿座上志郎院長。しばらく待合室のソファに腰掛けていると、おもしろい事実に気がついた。ドアを開けて入ってくるすべての子供さんが、おもちゃのあるプレイスペースに直行し、靴を脱ぎ捨て、無我夢中で遊びはじめる。そしてまだ遊びたいところを、お母さんに手を引かれながら診察室へと入っていく。阿座上先生いわく「みんな遊びに来てくれるような感覚なんですよ」とのこと。診察室の壁は、"あざがみせんせい、ありがとう"のお手紙やかわいいイラストでびっしり埋め尽くされている。はじめて目にした、"子供たちが笑顔でやってくる病院"。それはいかにして誕生し、今日に至ったのだろうか。(取材日2008年5月14日)
子供さんと同じ目線で、楽しみながら診療しています。
―先生ご自身は、どのようなお子さんだったのでしょうか?
比較的おとなしい性格だったんですけれど……なぜか中学1年生のときはNHK教育テレビ「こどもの科学」のレギュラーとして選ばれ、出演していました。毎週学校に黒塗りの車が迎えに来てNHKホールへ行き、撮影前後に食べる箱弁当が楽しみでね。さらに1969年アポロがはじめて月面に着陸した際につくられた特別番組があったのですが、そこにも選抜で出演した記憶があります。積極的に発言するタイプではなかったのに実に不思議なのですが、きっと僕の人生の全盛期だったのかもしれません(笑)。
―1969年に中学生というと・・・先生、実にお若く見えますね。
そういっていただけるとしたら、毎日ここで子供さんにエネルギーをもらっているからでしょうね。もともと「子供が好き」という理由ひとつで小児科医になったのですが、僕自身まだ子供っぽいところがあるんですよ。待合室に置くおもちゃに関しても、自らトイザラスやハンズに出かけて、わくわくしながら選んでいますから(笑)。診療するときも、子供さんと同じ目線で、楽しみながらお話しています。この年になると、ますます小児医でよかったなと思いますね。
―これまで、とくに印象深い患者さんとの出会いはありますか?
勤務医の頃、小さな女の子が溺水で運ばれてきたんです。すでに心肺停止状態で、心臓マッサージや人工呼吸器など、できる限りの処置を行ないました。あとはもうどこまで回復するか見守るだけというときに、その子が突然「はとぽっぽ」の歌を口ずさんだんです。それから徐々に意識が戻り、やがて元気に退院されたときは、子供さんの生命力の強さを感じました。その後、僕はいくつかの病院へ移動したのですが、毎年そのご家族から、お手紙や成長していく女の子の写真を送っていただいています。
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